宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について

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宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について

吉井和哉さん参加ということでもちろん購入しましたが1曲だけ落とすか迷って他のも聴いてみたら良い感じの曲多かったのでアルバムで購入しました。

宇多田ヒカルのうたを様々なアーティストの解釈でアレンジした結果どうなったか、私は宇多田ヒカルの特に「詩」の魅力が抽出されたように感じました。

宇多田のうたは詩がよい

「First Love」がいきなりドッカーンと出てきた当時は「若いのに何て大人っぽい歌詞を書くんだ」と思っていましたが、各曲、ハッとしたりおかしかったりドキっとするようなフレーズが出てきます。

井上陽水版SAKURAドロップスはまったく別の曲にアレンジされてますがw 原曲のサウンドでは森の妖精たちと歌うようなPVも相まって神聖で空想的な世界観の中で、

「思い出とダブる映像 秋のドラマ再放送」

という唐突に日常的なフレーズを突っ込んでくる。陽水さんはこのフレーズを陽水節で楽しそうに歌っています。ダァブルえいずぉ さぃほうそぅ。

吉井は何を選曲したか

よくミュートされたスネアの音が印象的。演奏はトライセラトップスの吉田佳史。

発表以来、吉井さんが何を選曲するか興味深かったのですが、選ばれた曲はBa My Last。有名な曲だしサビはもちろんよく知ってはいたのですが、歌詞を改めて見てみたら「あぁこれは選ぶよね」って納得しました。

イントロのフレーズが

「母さんどうして 育てたものまで 自分で壊さなきゃ ならない日が来るの?」

宇多田にとって「母さん」を歌うというのは特別なことだったでしょうし、幼いころに父を亡くした吉井さんにとっても母さんは特別な存在(詳しくは自伝参照)。

下記はアルバムリリースにあたっての吉井さんのコメント。

僕にとって、日本の2000年代を象徴する女性アーティストです。 イエローモンキーを活動休止して途方にくれてる頃、宇多田さんの歌に触れファーストアルバムを買いました。

「僕の時代は終わったな」

と当時、高井戸のオリンピック(スーパー)に行く車の中で聴きながら思ったものでした。 まさかこのような形でいま、作品に関わらせていただけるなんて夢にも思いませんでした。
昔、同じEMIに在籍していたころ、宇多田さんを意識して「CALL ME」という曲を仕上げました。 今回はその思い出とともにアレンジし、歌わせていただきました。

イエローモンキーという自分で作って自分が育ててきたバンドをまさに自分の手で壊してしまった吉井さん(活動休止を決め解散に至ったのは外的な要因ではなく吉井自身の考えで決定された)にとって、このフレーズは刺さるものがあったんじゃないでしょうか。

「いつか結ばれるより 今夜一時間会いたい」

一時間っていうフレーズを入れてくる宇多田の言葉選びにドキッとさせられます。

イエローモンキーの代表曲「花吹雪」の

「話したいこと山のようにあったけれど もうどうでもいい 今は君に触りたい」

という詩を思い出しました。

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