ベスト盤を全曲再録音、それも細かなアレンジこそあれアコースティック版とかにするわけでもなく直球の取り直し。バンドの状態によほどの自信がないとできない企画にまずは拍手。
そして仕上がったアルバムは、予想以上に生々しいスタジオライブ感のあるサウンドでした。オリジナルはいい意味でこねくり回して作られたサウンドだったのが、これは予想外の方向性。
曲によってはオリジナルの若さゆえのギラギラ感、2度は撮れないようなミラクルなテイクがたくさんある中で、これはやっぱりオリジナルの方がよいか?と思うのもあれば、超絶グレードアップしている曲たちもある不思議なベスト盤です。
悲しきAsian boy
まずイントロのイェーをやってない!逃げた!恥ずかしがるなよロビン!いやジャガー!っていうツッコミを全力でいれながら聴く。コーラスも女性のグラマラスなオリジナルの方がいいなぁとか思いつつ。でもサウンドはグレードアップ。サビのストリングスが美しく響く。しかしこの曲はどうしてもロビンの変化が気になってしまった。
パール
オリジナルはやけくそモードのバンドマジックがよかったのですが、今回はやけくそではなく昨年の復活ツアーで培ったバンドの筋肉を使って順当なアップグレードをした印象。これは負けてない。グッド。
太陽が燃えている
ホーン! そしてストリングスもあり大胆にアレンジを変えてきた。エマのギターソロも変化して当時のデモ版に近い雰囲気。新PVのロビンのミック・ジャガーばりのくねくねも相まって、ゴージャスなバックバンド入りのライブ版ストーンズのような。ベリーグッド!
プライマル。
なんだかパール以上にバンドサウンドの生々しさを感じる。アニーのシンバルの音がザクザクと炸裂し、ヒーセのベースがじんじんと腰に来る。しかし途中で入るピコピコ音にずっこける。ドゥ・ザ・ハッスル?w
Welcome To My Doghouse
オリジナルと比べたらサウンドはもう圧倒的にグレードアップ。リミックス版では弄りようのなかったロビンの歌は2017クオリティにアップデート。でも12弦ギターの音色はオリジナルのほうがキラキラした感じで好きかも。しかしオリジナルのロビンのへなちょこな歌も好きだけどね。
追憶のマーメイド
大幅アレンジきたこれ!歌謡曲的なストリングスが駆け上がりまくる!去年の薔薇と太陽~砂の塔そしてメカラウロコに至るストリングスの取り組みの成果がつぎ込まれた感じ。船山基紀クレジット。素晴らしい。アウトロでアニーがロールする新しいパターン。鬼リピ確定。最高。
Burn
うーむ・・・演奏のクオリティは高いけど、オリジナルの蜃気楼がぐらぐらするような妖気を感じないかも? 特にロビンの「今私脂が一番のってます」感のある声、あの感じはあの時期ならではのミラクルかも
Spark
うーむ・・・・丸い。オリジナルの聴くだけで若干火傷するような攻撃性が薄まって大人っぽい印象? 「Are you ready to spark?」もなんだか大人しい印象。しかし再終結後のライブが決してパワーダウンしているわけではない。不思議だな・・・と思って音量を上げてみた。そうしたらやっぱりすごかった。今回のアルバムはいいオーディオで聴きましょう。
楽園
これは良い。先の2曲に感じた違和感はなく、アップグレードした印象。エマのソロはオリジナルに忠実。これも大正解。しかしAh…のところで入るシンセっぽい音がなんだかちょっと。プライマルでも感じた4人以外の音の蛇足感が若干。
真珠色の革命時代
バロック真珠が大玉の真珠に生まれ変わった。メカラウロコ版をめちゃめちゃ聞いてるので普通に聴いてしまうのだけど改めてオリジナルを聞いてみると実はそんなにストリングス入ってなかったりする。魔法が完成した。アウトロの切り方も魔法がふっと消えるようなアレンジ。スタジオ版ならではでとても良い。
So Young
これはすばらしい。この曲は年を経るほどに良くなるんだな。
ひたすら泳いでたどり着いた青春。20年後にまたやってください。演奏がぼろぼろになってもいいです。きっとそのバージョンが最高です。
天国旅行
全体的に生々しいスタジオライブ感のあるアルバムの中でもこの曲はその最たる1曲。アニーのハイハットの打ち損ねまでもそのまま封じ込められているw それがゆえの魂が封じ込められた渾身のテイク。後奏のエマのソロからなだれ込む怒涛の展開、鶴ちゃんとのピアノの張り詰めた掛け合い。ローファイの中に開く宇宙。震える。
Suck Of Life
オリジナルよりもいやらしいオヤジ感が増すw Asianよりもこちらは加齢による違和感を感じないのはロビンの歌い方もかなりライブ版に寄せているから? サウンドはものすごくグレードアップ。これは新録版をリピートしそう。
花吹雪
オリジナルはイントロが前曲と繋がるアレンジのためベスト盤では不完全な印象が否めなかったところをオシャレにアレンジ。オリエンタルな雰囲気を漂わせサウンドにも高級感が。ロビンがイントロでエマとユニゾンしたり、「抱き合っていたら〜」のメロディ変えたりといったライブ版でおなじみのところが取り入れられているのが嬉しい。新録版最高。
JAM
本来オリジナルを超えることは不可能とも言えるようなミラクルだったのですが、今回のも新たな高みに達している。イントロのハイハットカウントが丸裸の生音。不朽の名曲。
バラ色の日々
最後を飾るにふさわしい新生イエローモンキーを代表する1曲に進化した。エマのギターが縦横無尽に踊っている。アウトロ、3回りやるライブ仕様なのが嬉しい。この曲で終わるのがすばらしい。
元々はこのアルバムの曲順、ファンの人気投票順ということであまり意味のない並びだったのですが、このように通して聞いてみると不思議といい曲順になっている気がします。
ここにいるイエローモンキーが感じられる素晴らしい1枚です。次は新曲のアルバム、お願いしますね。
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