この人の作品は毎回、驚かされるのだけど今回も来ましたね。
吉井ソロ史上、最も吉井和哉度が高く、ロック度が高い気がします。
フロリダという歌の中でも
鳴っちゃったんだよ 鳴っちゃったんだよ 初めてなんだよ
アメリカでほんとのロックが鳴っちゃったんだよ
と無邪気に喜びを表しているように、今回もアメリカで全員アメリカ人のミュージシャンとやっています。
ドラムはナインインチネイルズなどで叩いているジョシュ・フリーズ。
他にもウィルコのキーボーディストのパトリック・サンスンが参加しているのですが、このキーボードがいいです。
でしゃばらずに吉井さんの歌とギターの隙間を埋めるように色をつけています。
今回、ギターはほとんど吉井さん自ら弾いています。
これが味があるというか、特別上手くは無いんだけど、スペシャルなギターです。
歌い方もイエモンの頃の歌い上げる感じとか、ソロになってからあえて抑えていたような歌い方が復活して、なおかつレベルアップしたような感じです。
今回は楽曲のジャンル的にもバラエティに富んでいます。
1.ビルマニア
ど真ん中のロックンロール。珍しくBPM早いオープニング。
2.フロリダ
ブギー。ブギーな曲はイエローモンキー時代から何曲かあるのですが、ここまでシンプルで洋楽然としたブギーは初めてなんじゃないかと。
3.ウォーキングマン
珍しくドベタなブルース。得意の吉井節で歌謡曲テイストを感じるけどもサウンドがすごいことになってる。歌からギターから吉井臭がぷんぷん。
4.ノーパン
サイケデリックでプログレでアングラな曲。初めて詩先で作ったという「蚊取り線香」「うちわ」など昭和的な歌詞が登場。後半から怒涛の曲調変化。
5.ヘヴンリー
イエモンファンは「これだよ!」と大喜びする曲。
演歌的な吉井メロに絡むパトリックのキーボードが心地よい。
6.魔法使いジェニー
ライブは振り付け付きで踊って盛り上がるであろうアゲアゲな曲。
7.SNOW
恋愛と地球、ミクロとマクロに共通する普遍性を歌ったような歌詞のバラード。
ジュリアン・コリエルのスライドギターがいい。
8.ONE DAY
吉井ファン、イエモンファンならずともすべてのロックファン、そうじゃない人もみんなで手をつないで大合唱したくなるような曲。
こんなにポジティブで希望に満ちた吉井さんは見たことが無い。デビッド・ボウイの「Heroes」から歌詞が引用されてます。「キングになる クイーンになる」。イエモンで言えば「Father」みたいな感じ。すごく好きです。
9.ルビー
イエモンのころには得意技だった女言葉の曲。吉井さんは「聖子ちゃんが入っている」と言っていたが、乗ってるサウンドがものごっついロック。このギャップは今の吉井さんにしか作れる人がいないじゃなかろうか。
10.またチャンダラ
ビートルズ的なリフが特徴的。ふわっと軽くてでも癖になるメロディ。1曲目のビルマニアへ戻って聴きたくなる。そして無限リピートw
全10曲という少なさもいい。アルバムのまとまりとして聴くにはこれくらい曲数を絞ってもらったほうが聞く側も集中力を持って聴ける気がします。
この間のユニコーンのアルバムとか、最後の「Hello」まで聴きたいのだけど、途中で疲れちゃうw
恐ろしいのがこれだけクオリティでありながら、まだキャパが残ってる感じがすること。
インタビューでも「勢いで作った」といっていて次のアルバムで爆発すると言っています。
ますます今後が楽しみです。ライブがやばいなこれは。
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