【ネタバレなし/あり感想】サブスタンス。血みどろの爽快感。

映画・音楽・エンタメ

久々にとんでもない映画を見ました。
これは男性も女性も多くの人に見てほしい映画だと思うので紹介します。子どもは見ちゃだめですが(R-16)そっち系が特別好きでないという方にも一度何も知らずに喰らってみてほしい映画です。

ルッキズム・エイジズムに殴り込むテーマ性

若くしてスターダムにのし上がった女優のデミ・ムーアさんが今は落ち目でエアロビの番組をやっていてついにクビになってしまい、怪しい薬に手を出す・・・というあらすじ。ハリウッドはもちろん日本にも似たような話が沢山ありそうな、ルッキズム・エイジズムという問題をど真ん中に扱っています。
なんとなく「笑ゥせぇるすまん」を思い起こさせる人間の欲求とカルマに切り込んでゾッとする怖さがあります。デミ・ムーアさんが落ち目の女性という役どころですが、それにしてもめちゃめちゃキレイじゃないかというツッコミがありつつ、日本のトップ女優は絶対にやらないような体当たりな演技をしていてすごいです。

そしてデミ・ムーアから「分かれる」もう1人の女性がマーガレット・クアリーさん。この方がもう本当にパーフェクトボディをさらけ出していまして、それだけでも一見の価値がありますが、キュートな雰囲気と欲求をさらけ出していく怖さも兼ね備えていて素晴らしい演技対決となっています。

そしてそれだけに終わらないのがこの映画のすごみで、

阿鼻叫喚すぎるボディホラー

ボディホラーというのは人間の体がどうにかなってしまう系のホラーですね。有名どころでは、デビッド・クローネンバーグの「ザ・フライ」とか(個人的に幼少期に見てしまってトラウマを植え付けられた映画No.1)ですね。
個人的にもホラーのジャンルの中では苦手な方でして、特に針で体をどうこう・・・というのが苦手な方はちょっと見るのが辛いかもしれません。が、すべて嘘だと思って薄目でやり過ごせばよいのでスルーしていきましょう。そしてクライマックスに、本当に「阿鼻叫喚」の展開が待っています。※詳しくは後ほどのネタバレ編で。

あの映画のオマージュてんこ盛り

映画が好きな方ならパッと見てわかるあの映画のオマージュがたくさんあってニヤリとさせられます。わかりやすいところではキューブリックの「シャイニング」。この廊下の絨毯の模様とかシンメトリーな構図とかトイレの感じとか。ドア越しに対面するあの感じとか。
全体のルックの映画としてのおしゃれさが作品の価値を高めています。もちろんそういった映画を知らなくても楽しめます。

スタイリッシュなおとぎ話

キューブリックでいうと「時計じかけのオレンジ」を見たときに「おとぎ話のようだ」と感じたのと似ていて、この映画も意図的にディテールの現実味を排除しているように思います。携帯電話が出てこなかったり、薬の説明が少なかったり。それによって普遍性が得られ、この映画のテーマをより身近に感じることができます。

女性が見て「スカッとする」爽快感

この映画は「女性」という目線から世間を移し鏡のように見た内容なので男性と女性で感じ方が変わってくるものだと思います。なので男性である私はすごく面白かったのですが、女性はどう思いました?って聞くしかない感じになるのですが、一緒に見た妻の感想は「めっちゃ楽しい。スカッとした!」というものでした。このスカッとする感じは男性の私以上に感じるみたいです。「よくやってくれた!」ってところでしょうか。
ですので、ぜひ色んな方に見てもらいたいと思います。

※ここからネタバレします

いやー、最後の展開すごかったですね。うわーってなって終わるのかと思ったら、ここからまだ続くの?!っていう感じでむしろこれ本編だったかという展開でした。

シアターで血を撒き散らす「モンストロ・エリザスー(このテロップ出すところも爆笑)」。この血まみれで女がリベンジする展開で思い出すのは「キャリー」ですね。あれを100倍くらい過激度アップさせた感じw
キャリーも振り返ると冒頭で初潮のシーンから始まり最後も血をかぶって女性というものを象徴する意味で血を使っているのかなと思いますが、今作ではその血を相手にぶつける武器として使う感じでw「女性は血が出るじゃこれでもくらえー!」というノリw

その後わざわざシャイニングっぽい廊下でも血を撒き散らす。これはまさしく血の洪水シーンをなぞっていて、ほんとこの監督、映画好きなんだなと思いました。女性の監督で私と同年代のフランスの方です。なるほど、女性だからこそここまで女性をけちょんけちょんにする映画が取れるんだなと。男の監督じゃ絶対無理ですねw 

男性役はその名も悪名高い「ハーヴェイ」さんでこれ以上ないくらいキモく描かれていましたが、不思議と男性の私目線でも「男をひどく描きやがって」という感想は湧きませんでした。それもこの映画全体がおとぎ話のような記号性をまとっているからかもしれません。何より最後のシーンで全てぐちゃぐちゃに吹き飛ばしてしまってスッキリするんですよね。

そしてドロドロになったデミ・ムーアの笑顔で成仏するシーンに、「やっとこの人は開放されたんだな」という安堵を得ます。

もう一度見たくなってきました。
この映画は用法用量を守って正しくご鑑賞ください。

マーガレット・クアリーさんといえばこの映画も出てました。

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