エイリアンロムルスを見てきました。劇場でエイリアンを見るのは4以来(プロメテウスーコヴェナントは最近ビデオで見た)なので25年ぶりくらいです。
個人的に「エイリアン」は結構好きでして、何が好きかというとあの造形と人間に寄生する恐ろしい設定に惹かれているところが大きいです。
そして「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」という秀逸なコピーが示す閉塞空間の鬼ごっこかくれんぼ、そしてがっつり未来SFの舞台設定ですね。
大傑作はやはりジェームズ・キャメロン監督の2。これに子供の頃に見てトラウマになりかけながらドハマリしたわけですが、最近リドリー・スコットの1を見返してみるとやっぱりこちらも大傑作。しかしそこから続くシリーズは評価が分かれるところで、3,4の迷走感、プロメテウスから続く新シリーズのコレジャナイ感、いずれの作品も面白いところもあるのですが、エイリアンってもっと面白くなるんじゃないか!という歯がゆさを感じるシリーズでした。
そんななか登場した今作「エイリアンロムルス」は、「待ち望んでいたエイリアン映画」感があったので感想を書いていきたいと思います。
ネタバレなし感想
今作の時系列はエイリアン1と2の間で、世界観設定はパラレルではなくガッツリ繋っています。過去作を見ていると嬉しくなる大ネタ小ネタが随所にありますが、主要人物はすべて新しい人物、場所・ストーリーも完全に独立した新規のストーリーなので知らなくても楽しめます。予習するとしたら1、2両方か片方でも見ておけばいいかなという感じですが、余力があるならプロメテウス、コヴェナントまで見ておくと更に楽しめます。
今作はエイリアン過去作が持っていた魅力、具体的にはクリーチャーとしての恐ろしさ、閉塞感あるかくれんぼ、2のバトル・アクション要素などがしっかりと味わえつつ、様々な新しいアイディア、舞台設定、ギミックを追加して新鮮な楽しさを得ることに成功していると思います。そして強さ・グロさもかなり強い。またエイリアンシリーズおなじみのアンドロイドと闇の企業の存在。このあたりを絡めたスリル、サスペンス感もあり、幕の内弁当的な魅力があります。
エイリアンシリーズのファンはもちろん、なんとなく興味あるけどよく知らない人へのファーストエイリアン映画としてもオススメできる出来です。
具体的な内容に触れたい点が多々あるのでここからはネタバレ感想です。
ネタバレあり感想
新アンドロイドのアンディの魅力
彼がまず今作のストーリー展開の中核でうまく機能していましたね。黒人で知恵遅れ気味なキャラクターという弱者的なポジション、メンバーにも虐げられる状況で主人公レインも静かにそれに同調してしまった矢先のアップデートによる立場の逆転。物語のテーマ性とストーリーの展開に大きく寄与していました。他の登場人物も人間臭く描かれていて魅力的でしたね。アンドロイドと対象的に人を見捨てないがゆえに最悪の判断をしてしまったり。主人公もちゃんと期待通り女ヒーロー的な成長を見せるリプリーイズムを継承しつつ新しい時代の女性ヒーロー感が出てました。
新鮮な舞台ギミック
よくぞここまでいろんなアイディアを思いついて盛り込んだなという所に感心しました。無重力状態が時間でオンオフされる設定。それが終盤の盛り上がりにつながる伏線。
「フェイスハガーは目が見えなくて体温と音に反応する」これは今作の新設定。これをセットアップして「はい、ここからその性質を利用して切り抜けるステージでーす」という感じで始まるのは良くも悪くもゲームっぽい展開でしたが楽しめました。
1つ1つ伏線となるギミックを設置していって回収していくのが最後までてんこ盛りで続く映画でした。そりゃ無いだろ的なところもいくつかありましたけどw
過去作のアイツ大登場
1のアンドロイドのあいつが顔そのままに登場したのはサプライズでした。(調べるとこの俳優は既に亡くなっているとのことでCG再現)。でもってやっぱり人間を裏切る超絶ブラック企業の製品というある種期待通りの展開。これだけだとありきたりだけど、アンディがそっち側にいったりこっちに戻ってきたりするところに新鮮味がありました。
そして謎の黒液体、ここでプロメテウスシリーズとの流れが判明し、一応こっちのシリーズも見ておいて良かったと嬉しくなりました。
終盤の最悪な展開
そしてメンバーの妊娠発覚・・・「それ絶対あかんやつやん・・・」となるわけですが、予想してた通りの最悪な展開へ。ここで思い出すのは4のニューボーンエイリアン。あれもアイディアはわかるんだけど、そもそもクローンってものの扱いがメチャクチャじゃね?ってところからついていけない感じでした。今作は納得するしないに関わらず理屈は通った形で女の人の今度はそっちの穴から誕生してしまうエイリアン。その造形は・・・あー、気持ち悪っw
私がエイリアンを好きなのはH.R.ギーガーのその造形の、メカっぽさ、卑猥な生っぽさが調和した美しい造形にあると思っているのですが、今回の「オフスプリング(子孫)」のそれは、4のニューボーンのそれよりも顔に人間味がましてより気持ち悪いものでした。ただこれが主流になるわけではないのだろうからこの造形には納得はしますけども。
終わったと思ったら・・・の流れを踏襲してくれたのも良かった。全然終わってないやろって客の全員が心の中で突っ込むような展開でしたけど。
他にもたくさんの原作小ネタ、過去作セリフのなぞり、このあたりはSWフォースの覚醒以降の感じといいますか、そのノリはありました、があくまで知っている人たちだけで内輪でウケるようなノリではなかったので良かったです。
ということで、今作は期待していたエイリアンの映画のハードルをしっかり越えてくれた感じがあったので高評価です。続編があるなら見に行きたいと思います。
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